秋の信州アート散策 Day0

16歳で原付免許を取得、経験を積み18歳には中型免許。ステップアップして大きなバイクに乗り替えれば遠出をしたくなるもの。関東在住者ならまずは日帰り箱根伊豆方面。信州方面へは頑張れば日帰りでも行けなくはないが、高原の景色や豊富なワインディングロードを堪能するには最低でも一泊二日で訪れたい。お出かけ気分になる憧れの地。

何度も信州には訪れているが、改めて思い返してみると行った場所の固有の記憶が薄い。走ることに夢中で観光はほとんどしてこなかったからだろう。例えばヴィーナスラインでは、美ヶ原高原美術館は横目で見て通過するだけで、一回も「アモーレの鐘」を聞いたことがない。

今回改めて信州エリアを巡ってみようと思うきっかけが、松濤美術館の企画展で見た木片(こっぱ)人形との出会いである。大正時代、長野県上田から起こった「農民美術」というほんの短い期間しか続かなかった活動で生まれた、素朴で愛らしい小さな木彫りの人形は、90年経って再評価の機運もあるようで大変興味が湧いた。

そこでこれまでの旅のテーマに沿って改めて信州エリアを巡りたいと考えた。上田市内には木片人形が見られる美術館があるようなので、そこを起点に信州の道の記憶を呼び起こしながら周遊する、2泊3日のプランを練った。